「地代を受け取っている土地を手放したいが、思うように進まない」
「借りている土地の建物を売却したいが、手続きが分からない」

このように権利関係が複雑な不動産に直面し、悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

底地や借地権は、地主と借地人で権利が分かれている財産を指します。一般的な土地と違い、売却や建て替えの際に相手の承諾が必要なため、相続時にトラブルが生じやすいのが特徴です。

本記事では、相続税の負担軽減や資産価値向上のために底地・借地権を整理する4つの具体的な手法や、対策のポイントについて解説します。

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底地・借地権とは?なぜ相続で悩みやすいのか

底地と借地権は、一つの土地に対して「地主」と「借地人」でそれぞれ権利が発生している状態です。

底地:土地を人に貸している地主側の権利
借地権:地代を払って他人の土地の上に自分の家を建てて住む権利

底地の場合、地主は土地の所有者でありながら土地を自由に使えない代わりに、借地人から地代を受け取ります。借地権の場合、家は自分のものでも、土地は自分の自由にはなりません。

このように権利が分かれていると、売却や建て替えを行う際に双方の承諾が必要になります。
その結果、通常の不動産と比べて活用の自由度が低く、相続する場合扱いに悩みやすいのが特徴です。

底地・借地権の整理が不動産相続で重要な2つの理由

底地や借地権の整理が不動産相続において重要な理由は、以下の2点です。

底地や借地権の整理が不動産相続において重要な理由

①:底地・借地権は相続の負の遺産になりやすいため
②:放置するとトラブルにつながる可能性があるため

底地・借地権は単独で活用しにくいうえに現金化も難しく、そのまま引き継ぐと「相続税の支払いが必要なのに土地を売却できない」といった事態を招き、次世代が苦労する要因になります。

また、放置するとトラブルや資産価値の低下につながるリスクもあるため、早めの対応が不可欠です。

①:底地・借地権は相続の負の遺産になりやすいため

底地や借地権は、相続した人が自由に売却や活用を行いにくいため、負の遺産となる場合が多いです。
地主と借地人で権利が分かれている影響により、何をするにも相手の承諾が必要で、現金化や有効活用を妨げる要因になります。

また、権利関係が複雑である影響から、相続後の判断に時間がかかり、家族間で意見がまとまりにくくなるケースも少なくありません。問題を放置すると、管理の手間や固定資産税などの負担だけが残り、次の世代へ負の遺産として引き継がれてしまいます。

将来のトラブルを防ぐために、所有者が健在なうちに権利を整理して、引き継ぎやすい状態へ整えておく必要があります。

②:放置するとトラブルにつながる可能性があるため

底地や借地権を未整理のまま放置すると、当事者間や親族間でのトラブルを招きかねません。

例えば、長い年月の間に地主と借地人の関係が疎遠になると、地代の未払いや音信不通などの問題が発生するおそれがあります。

また、相続が発生した際、分割しにくい財産ゆえに遺族同士の話し合いが難航しやすくなります。価値判断が難しい権利は、平等な配分を望む相続においてトラブルの火種になりやすいのです。

こうした状況は時間が経つほど複雑になり、解決の難易度も高まります。将来の対立を防ぐためにも、早い段階で権利関係を整理し、関係者間で方向性を共有しておく姿勢が不可欠です。

底地・借地権を整理する4つの方法と流れ

底地と借地権を整理すれば、不自由な権利関係が解消され、土地の価値を最大限に高められます。
自分たちの状況に適した整理法を探るために、代表的な4つの手法を確認しましょう。

整理法を探るための4つの手法

①:借地人が底地を買い取る(底地売却)
②:地主が借地権を買い取る(借地権買取)
③:地主・借地人が一緒に第三者へ売る(共同売却)
④:地主・借地人が等価交換する(敷地引分)

①:借地人が底地を買い取る(底地売却)

借地人が地主から底地を買い取れば、土地と建物を一つの完全な所有権としてまとめられます。
将来的に売却や建て替えを地主の許可なく自由に進められるようになり、資産価値も向上するでしょう。

地主側にとっても、管理の負担がある底地を売って現金を得られ、相続税の支払い資金を確保できる利点が生じます。

具体的な売却の手続きは、次の4ステップです。

1.地主に売却の意思があるか確認し、専門家を介して買取を打診する
2.底地を査定する
3.売買価格の合意を得たあと、売買契約を締結する
4.決済と所有権の移転手続きを行う

売却には双方の合意が必要なため、トラブルを避けるには不動産会社などの専門家を交えて円滑に話し合いを進める姿勢が不可欠です。

②:地主が借地権を買い取る(借地権買取)

地主が借地人から借地権を買い取れば、土地の完全な所有権を取り戻せます。
これまで制限されていた土地の活用や売却が自由になり、資産価値が高まるでしょう。

借地人側も地代や更新料の負担がなくなり、継続的な支出を抑えられるメリットがあります。

借地権を買い取る流れは以下の通りです。

1.専門知識のある不動産会社に仲介を依頼する
2.借地権の査定を行う
3.査定価格をもとに、地主と買取交渉を行う
4.合意に至れば契約書を締結する
5.決済後に土地の引き渡しを受ける

将来を見据え、相続が発生する前の所有者が健在なうちに整理を完了させれば、相続時の負担を大幅に軽減できます。

③:地主・借地人が一緒に第三者へ売る(共同売却)

共同売却は、地主と借地人が協力し、土地と建物をセットで第三者へ売却する手法です。
権利を一つにまとめた状態で市場に出せるため、それぞれ単独で取引するより高値で売れる可能性が高まります。

一方で、双方の合意形成や利益配分の取り決めが必要となるため、売却までに時間がかかる傾向があります。

共同売却は以下の流れで進めましょう。

1.地主と借地人の間で同時売却を行う旨を合意する
2.不動産会社へ査定と売却を依頼する
3.土地と建物の販売活動を開始する
4.売買契約の締結および代金の決済を行う
5.土地の賃貸借契約を終了させる

双方の利益を最大化できるよう、底地・借地権の扱いに長けた不動産会社や弁護士などの専門家を交えて計画的に準備を進めてください。

④:地主・借地人が等価交換する(敷地引分)

等価交換は、一つの土地を地主と借地人で分割し、それぞれが単独の所有権を得る手法です。
権利関係がシンプルになるため、売却や建て替えの自由度が高まり、相続手続きも行いやすくなります。

ただし、敷地を分け合う都合上、一人あたりの所有面積が狭くなる点に留意しておきましょう。
また、借地人が土地の持ち主になると、その年から固定資産税の納税義務も新たに生じます。

等価交換の具体的な手続きの流れは以下の通りです。

1.土地の時価評価と、底地・借地権の評価額を把握する
2.当事者間で土地の交換割合を決定する
3.土地全体の正確な面積と境界を確定するために境界確定測量を行う
4.土地を分けたあと、各土地の権利を交換する所有権移転登記を行う
5.固定資産の交換を適用するために、税務署へ確定申告する

どちらか一方が得をしすぎないよう、専門家と相談しながら公平な割合で進めましょう

底地・借地権はどう相続税対策すべき?目的別の整理方法

底地や借地権の相続税対策は、目的に応じて整理方法を選ぶと、税負担や資産活用の効率を改善できます。

目的別に検討したい主な整理方法は、以下の3つです。

目的別に検討したい主な整理方法

①:相続税を節約したい場合は特例でさらに底地の評価額を下げる
②:納税資金を確保したい場合は共同売却で現金化する
③:将来の収入を増やしたい場合は高収益物件への乗り換えを検討する

①:相続税を節約したい場合は特例でさらに底地の評価額を下げる

底地はすでに更地より評価が低い状態ですが、広大な土地や都心の好立地では、依然として相続税の負担が重く残る場合があります。

特に、地代収入が固定資産税の支払いなどで消えてしまうようなケースでは、納税資金の確保が難しく、資産だけが削られる負の連鎖に陥りかねません。

この負担をさらに軽減するには、「小規模宅地等の特例」を活用し、底地の評価額を最大80%まで減額することが有効です。すでに借地権割合で圧縮された評価額をさらに減額できるため、底地単体での節税効果を最大化できます。

ただし、適用にはいくつか条件があり、判断が複雑です。特例を活用したい場合は、相続税に強い税理士や不動産会社に相談しましょう。

②:納税資金を確保したい場合は共同売却で現金化する

相続税の支払いに充てる現金が必要なときは、地主と借主が協力して売る「共同売却」によって資産を現金化しましょう。

底地や借地権を個別に売却する場合、市場での評価が低くなり、本来の価値よりも安値で取引されがちです。
しかし、双方の権利をセットにして売り出せば、土地全体を更地に近い高い評価で売却できる可能性が高まります。

税金を現物の土地で納める「物納」もありますが、審査基準が厳しいため、納税手段としてはあまり期待できません。
したがって、確実に納税資金を準備するには現金化を前提に考える必要があります。

なお、相続税の支払い期限は、亡くなってから10ヶ月以内です。生前のうちに権利を整理して現金に変えておけば、相続発生時の支払いもスムーズに進むはずです。

土地を売るには時間がかかるので、余裕を持って売却に向けた話し合いを始めておきましょう。

③:将来の収入を増やしたい場合は高収益物件への乗り換えを検討する

将来の収入を増やしたいなら、権利を整理した後に高収益な不動産へ投資し直しましょう
地代収入のみでは利益が限られるため、アパート経営や駐車場運営に切り替えるのが有効です。

もし今の土地が活用しにくい場所であれば、売却した資金で収益性の高い別の不動産に買い換える選択肢もあります。

複雑な権利が解消されれば、銀行から融資を受けて新たな建築を行う計画も立てやすくなるはずです。資産の形を整えて効率よく利益を生み出し、安定した生活を目指しましょう。

底地・借地権の整理と相続を成功させるコツ

底地・借地権の整理と相続を成功させるための主なコツは、以下の3つです。

底地・借地権の整理と相続を成功させるコツ

①:当事者間の合意形成を重視する
②:相場・評価を正しく把握する
③:長期的な資産価値を見据える

権利関係が複雑なため、計画性を持って進めないと、トラブルや負担の増加につながる可能性があります。ポイントを押さえて対応し、円滑な相続と資産活用を実現しましょう。

①:当事者間の合意形成を重視する

底地や借地権を整理する際は、地主と借地人双方の合意が不可欠です。どちらか一方の意見だけを押し通そうとすれば、話し合いは決裂し、計画自体が立ち行かなくなります。

円滑な解決を目指すためには、お互いの状況や要望を丁寧に聞き取る誠実な対話が欠かせません。相手を尊重したコミュニケーションを意識すれば、複雑な権利関係もスムーズに解消へと向かうはずです。

感情的な対立を避け、お互いに利点を見つける姿勢を持って交渉に臨みましょう。

②:相場・評価を正しく把握する

底地や借地権の整理を成功させるには、相場や評価を正しく把握する姿勢が欠かせません。適正価格を理解していないと、不利な条件で売却や交渉を進めてしまうリスクがあります。

特に底地や借地権は、一般的な土地とは評価方法が異なり、権利関係や利用状況によって価格が大きく変わります。専門的な知識も求められるため、不動産会社や不動産鑑定士などに査定を依頼しましょう。

適切な評価をもとに交渉を進めれば、納得感のある条件で整理を実現しやすくなります。

③:長期的な資産価値を見据える

底地や借地権の整理を検討する際は、目先の現金化だけでなく将来の収益性や活用方法まで考慮しましょう。

複雑な権利関係を解消すれば、土地を自由に使えるようになり、資産としての価値は大幅に上昇します。
今の判断が数年後や数十年後の家族にどのような影響を与えるか、広い視野で捉える姿勢が不可欠です。

次世代へ優良な財産を引き継げるよう、長期的なメリットを最優先に考えた計画を立てましょう。

地主・借地人との間でトラブルを避けるなら専門家への相談がおすすめ

底地や借地権の整理では、専門家へ相談するとトラブルを未然に防ぎやすくなります。
当事者同士の交渉は利害が対立しやすく、感情が入り込んで話し合いがこじれてしまうケースも少なくありません。

一度関係が悪化すると、解決までに長い時間を要し、計画そのものが進まなくなる可能性があります。

専門知識を持つプロが調整役を担えば、複雑な権利の整理もスピーディーに進むはずです。円満な解決を目指すためにも、自分たちだけで抱え込まず早めに専門家を頼るようにしましょう。

当サイト「Actio不動産相続ポータル」からお問い合わせいただければ、適正な評価額の算出から当事者間の合意形成まで、どのようなサポートが必要になるかを不動産会社・士業などのプロのチームにご相談いただけます。

底地や借地権の整理・相続で悩んでいる方は、早めにプロへ相談し、安心して進められる環境を整えていきましょう。

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